【ニチコミコラム】労働讃歌

2019 年 8 月 5 日 月曜日 投稿者:ニチコミ

 こんにちは、めるちゃんです。

 学生時代、学校構内の清掃アルバイトをしておりました。先輩の紹介で始めたのですが、一緒に働く方のほとんどは60才以上の方で、朝だけ学生が数名増員で入る形でした。他にも社員さんや腕に刺青を入れたお兄さん(バイク乗り集団の元リーダーです)なども、おそろいの制服を着て各教室に潜入し、学生が来る前の静かな校舎を綺麗にしていきます。

 広い教室などは隅々まで掃除機をかけるのも一苦労なのですが、皆さん手際よくテキパキと動くので学生の自分が引けを取るほどでした。

 そんな中で、とくに高齢のNさんという女性がいました。働き始めた頃担当するエリアが一緒だった事もあり、学内で声をかけて頂いたりお菓子を頂いたり、お世話になっていました。

 Nさんは仕事が丁寧なのですが、そのぶん動作などはゆったりです。

 他の方はどちらかというと素早くチャキチャキした方が多く毎日「Nさん早く!」「こっちも掃除して!」などきつめの注意を受けていることを知り、心苦しい気持ちでした。

 いつしか担当するエリアが変わり、Nさんと会う機会が少なくなっていましたが、仕事を終え更衣室に戻るとNさんがいました。

 「久しぶり」といつもの笑顔で挨拶を交わしてくれた彼女は、なんと、従業員用の更衣室を掃除していたのです。

 更衣室の掃除は誰の仕事でもありません。

 自分がもしNさんだったらさっさとバイトを変えるでしょう。しかしNさんは特に気にしていないようで(本心はわかりませんがそう思います)、休憩時間中に黙々と皆のために掃除していました。思わず、手伝いました。

 あの頃の私には「時給」がすべてであり、働くという事が給料以上の意味を持つなんて思ってもみませんでした。

 それなのに、一緒に行ったあの掃除は特別で、気持ちの良いものでした。

 あの日のNさんの光は誰かに届いたでしょうか?私にはちょっと届きましたが。

 誰にも届かなかったとしても、Nさんにとっては光がある事が意味なんだ、そういう生き様なのだと思いました。そしてその光とは「労働」でした。

 直後に私はクビになり(理由省略)その後がわからないのですが、いま社会人になり、労働が信念を社会に反映させる機会であると感じます。

 Nさんの域には到底届きませんが、私も自分の労働の先に誰かがいる事を思い、光であるよう努力して参ります。

(↑タイトルになっているももいろクローバーさんの曲も聴いてください。)

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