【ニチコミ東京支社/小話】閑古錐(かんこすい)

2015 年 2 月 16 日 月曜日 投稿者:DORA

大雪、冬の嵐、竜巻と大荒れの天気が続いていますが、みなさんいかがお過ごしですか。
天気が悪い時は、無理をせず様子を見てお出かけくださいね。

 

先日、禅の本を読んでいたら気になる言葉がありました。

 

閑古錐(かんこすい)

「かんこすい」

 

「閑」は「ひま」

「古」は「古い」

「錐」は大工道具の、木などに穴をあける「キリ」です。

言葉の意味は「使い込んで先が丸くなり、もう使わなくなった古いキリ」

役に立たない、無用の長物?

いえいえ、禅の世界では、悟りの境地に達した人を指すのだそうです。
掛け軸などでも取り上げられる題材で、書道をなさる方はよくごぞんじの言葉かもしれません。

 

新しいキリは刃先も鋭く、よく使える反面、使い方を間違えれば誰かを傷つけてしまうことも。

古いキリは、穴をあけることはできないけれど、よく使い込まれて手になじみ角がとれ、柄は黒光りして、歳月がつちかった何とも言えない風格があります。
うっかり誰かを傷つけることもありません。

 

若い頃には切れ者で、数々の競走に打ち勝ってきた人が、年を重ねるごとに円熟味が増し、静かな存在感とともに、いつもニコニコ好々爺然として笑っている。

そんなイメージでしょうか。

 

仕事で老人会の方にお会いするたび、特に役員の皆さんの包容力の大きさに感心します。
皆さん、それぞれ社会で大きな役割をはたしてこられて、高い地位にいた方も、おごらず、気さくにお話ししてくださいます。
まさしく「閑古錐」だなあ、と思いました。

 

私も、そんな穏やかな風格のある人になりたいなぁと思います。

…いえ、実を申せば、この言葉を知ったとき
「古いキリも、刃を研げば、まだまだ使えるのでは!?」と考えてしまいました。
まだまだ修業が足りない、つまらない俗人でございます。
とほほ…(笑)

 

桜の古木

桜も、年を経た古木ほど見事な花を咲かせますね

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